問題
A社は、長年の研究開発により独自の生産技術を確立し、これを社内で秘密に管理したうえで、不正競争防止法上の営業秘密として法的保護を受けたいと考えている。営業秘密に関する次の①〜⑤の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1営業秘密は、特許権と同様に特許庁への出願および登録を経て初めて法的保護を受けることができるものであり、登録を怠った技術上の情報は不正競争防止法による保護を一切受けることができない。
- 2従業員が在職中に正当に知り得た営業秘密であれば、その従業員が退職した後にこれを競合他社において使用したとしても、不正競争防止法上の不正競争行為に該当することはない。
- 3営業秘密として不正競争防止法上の保護を受けるためには、その情報が秘密として管理されていること(秘密管理性)、生産方法・販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること(有用性)、および公然と知られていないこと(非公知性)の三つの要件をすべて満たす必要がある。
- 4いったん社外に流出して不特定の者が知り得る状態に至った情報であっても、その情報を保有していた企業が主観的に秘密であると考えている限り、引き続き営業秘密として保護される。
- 5営業秘密の不正な取得・使用・開示に対しては、差止請求や損害賠償請求といった民事上の救済が認められるにとどまり、刑事罰が科されることはおよそない。
正解
3. 営業秘密として不正競争防止法上の保護を受けるためには、その情報が秘密として管理されていること(秘密管理性)、生産方法・販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること(有用性)、および公然と知られていないこと(非公知性)の三つの要件をすべて満たす必要がある。
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解説
秘密管理性・有用性・非公知性の三要件をすべて満たす必要があるとする③が適切。不正競争防止法2条6項は営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義し、秘密管理性・有用性・非公知性の三要件をすべて満たすことを要する。①は誤り。営業秘密は登録や出願を要せず三要件を満たせば保護され、登録制度を前提とする特許とは異なる。②も誤り。不正の利益を得る目的等で退職後に営業秘密を使用・開示する行為は不正競争行為(営業秘密の不正使用等)となりうる。④も誤り。不特定の者が知り得る状態になれば非公知性を失い、主観的に秘密と考えても営業秘密として保護されない。⑤も誤り。営業秘密侵害については一定の場合に営業秘密侵害罪として刑事罰が科されうる(不正競争防止法21条)から「刑事罰が科されることはおよそない」は誤りである。実務では秘密管理性を満たすためのアクセス制限や秘密表示等の管理措置が重要である。
一問一答
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