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民法難易度: 標準2023年度

行政書士 過去問民法 第35問

問題

損益相殺ないし損益相殺的調整に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

選択肢

  1. 1幼児が死亡した場合には、親は将来の養育費の支出を免れるので、幼児の逸失利益の算定に際して親の養育費は親に対する損害賠償額から控除される。
  2. 2被害者が死亡した場合に支払われる生命保険金は、同一の損害についての重複填補に当たるので、被害者の逸失利益の算定に当たって支払われる生命保険金は損害賠償額から控除される。
  3. 3退職年金の受給者が死亡し遺族が遺族年金の受給権を得た場合には、遺族年金は遺族の生活水準の維持のために支給されるものなので、退職年金受給者の逸失利益の算定に際して、いまだ支給を受けることが確定していない遺族年金の額についても損害賠償額から控除されることはない。
  4. 4著しく高利の貸付けという形をとっていわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で借主から高額の金員を違法に取得し多大な利益を得る、という反倫理的行為に該当する不法行為の手段として金員を交付した場合、この貸付けによって損害を被った借主が得た貸付金に相当する利益は、借主から貸主に対する不法行為に基づく損害賠償請求に際して損害賠償額から控除されない。
  5. 5新築の建物が安全性に関する重大な瑕疵があるために、社会通念上、社会経済的な価値を有しないと評価される場合であっても、建て替えまで買主がその建物に居住していた居住利益は、買主からの建て替え費用相当額の損害賠償請求に際して損害賠償額から控除される。

正解

4. 著しく高利の貸付けという形をとっていわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で借主から高額の金員を違法に取得し多大な利益を得る、という反倫理的行為に該当する不法行為の手段として金員を交付した場合、この貸付けによって損害を被った借主が得た貸付金に相当する利益は、借主から貸主に対する不法行為に基づく損害賠償請求に際して損害賠償額から控除されない。

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解説

正解は4(妥当なもの)。判例(最判平成20年6月10日等)は、ヤミ金融業者が反倫理的行為に該当する不法行為の手段として交付した貸付金相当額の利益は、借主の損害賠償請求において損益相殺・損益相殺的調整として控除することは民法708条の趣旨に反し許されないとした。よって4は妥当。1は誤りで、判例は逸失利益の算定に際し養育費を控除しない。2は誤りで、生命保険金は払い込んだ保険料の対価であり別個の原因に基づくため逸失利益から控除されない。3は誤りで、判例は支給を受けることが確定した遺族年金は控除すべきとする。5は誤りで、社会経済的価値を有しない建物については居住利益を損害賠償額から控除しないとした判例がある。(出典: 令和5年度 行政書士試験 問題34)

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