問題
共同相続における遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
選択肢
- 1共同相続人中の特定の1人に相続財産中の不動産の所有権を取得させる一方で当該相続人が老親介護を負担する義務を負う内容の遺産分割協議がなされた場合において、当該相続人が遺産分割協議に定められた介護を行わない場合には、他の共同相続人は債務不履行を理由として遺産分割協議自体を解除することができる。
- 2被相続人が、相続財産中の特定の銀行預金を共同相続人中の特定の1人に相続させる旨の遺言をしていた場合、当該預金債権の価額が当該相続人の法定相続分の価額を超えるときには、当該預金債権の承継に関する債権譲渡の対抗要件を備えなければ、当該預金債権の承継を第三者に対抗できない。
- 3共同相続人の1人が、相続開始後遺産分割の前に、被相続人が自宅に保管していた現金を自己のために費消した場合であっても、遺産分割の対象となる財産は、遺産分割時に現存する相続財産のみである。
- 4共同相続人は、原則としていつでも協議によって遺産の全部または一部の分割をすることができ、協議が調わないときは、家庭裁判所に調停または審判の申立てをすることができるが、相続開始から10年以上放置されていた遺産の分割については、家庭裁判所に対して調停または審判の申立てを行うことができない。
- 5相続財産中に銀行預金が含まれる場合、当該預金は遺産分割の対象となるから、相続開始後遺産分割の前に、当該預金口座から預金の一部を引き出すためには共同相続人の全員の同意が必要であり、目的、金額のいかんを問わず相続人の1人が単独で行うことは許されない。
正解
2. 被相続人が、相続財産中の特定の銀行預金を共同相続人中の特定の1人に相続させる旨の遺言をしていた場合、当該預金債権の価額が当該相続人の法定相続分の価額を超えるときには、当該預金債権の承継に関する債権譲渡の対抗要件を備えなければ、当該預金債権の承継を第三者に対抗できない。
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解説
正解は2。相続財産中の特定の預金債権を特定の共同相続人に相続させる旨の遺言があり、その価額が当該相続人の法定相続分を超えるときは、法定相続分を超える部分の承継は、対抗要件(債権の承継につき遺言の内容を明らかにした通知等・899条の2第2項)を備えなければ第三者に対抗できないので妥当。1は遺産分割協議は、共同相続人の一人が協議で負担した債務を履行しないときでも、債務不履行を理由として解除することはできない(最判平元.2.9)ので妥当でない。3は遺産分割前に共同相続人が処分した財産も、共同相続人全員(処分者を除く)の同意により遺産分割の対象に含めることができる(906条の2)ので、現存する財産のみとする点が妥当でない。4は相続開始から10年を経過した後も遺産分割の調停・審判の申立ては可能(特別受益・寄与分の主張に制限がかかるにとどまる・904条の3)であり妥当でない。5は預貯金債権の一部については、遺産分割前でも各相続人が単独で一定額の払戻しを受けられる(909条の2の仮払い制度)ため、全員の同意が常に必要とする点が妥当でない。(出典: 令和6年度 行政書士試験 問題35)
一問一答
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