問題
不当利得に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
選択肢
- 1盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対して、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。
- 2他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還するまでの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。
- 3違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。
- 4不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登記手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。
- 5Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済として受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対してその返還を求めることができる。
正解
4. 不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登記手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。
詳しい解説を見る解説を閉じる
解説
正解は4。不法原因給付(民法708条本文)として返還が否定されるには「給付」が終局的に完了している必要がある。既登記建物では、引渡しがあっても所有権移転登記が未了であれば終局的な給付があったとはいえず、708条による返還拒絶の効果は生じないため、贈与者Aは無効を理由に建物の返還を求めることができる(未登記建物では引渡しで給付完了とした最大判昭45.10.21との対比)。よって4が妥当。1は盗品を善意で取得した買主に使用利益相当額の返還義務まで負わせるのは判例に照らし妥当でない。2は他人物売買が解除された場合でも買主は引渡し後の使用利益を返還する義務を負う(最判昭51.2.13)ので妥当でない。3は賭博という不法原因給付に当たり賭金の返還を求められないので妥当でない。5は騙取金による弁済は、受領者Aが悪意または重過失でない限り被騙取者Cの損失との因果関係を欠き不当利得が成立しない(最判昭49.9.26)ため、Aの善意悪意を問わず返還を求められるとする点が妥当でない。(出典: 令和7年度 行政書士試験 問題34)
一問一答
全600問を繰り返し学習