問題
賃貸人・賃借人の権利義務に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
選択肢
- 1賃借人は、賃貸人の承諾を得なくても自由に賃借権を譲渡できる。
- 2賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用収益させた場合、賃貸人は常に契約を解除できる。
- 3賃借人の原状回復義務には、通常の使用及び収益によって生じた損耗は含まれない。
- 4賃貸人は、目的物の修繕義務を一切負わない旨の特約は常に有効である。
正解
3. 賃借人の原状回復義務には、通常の使用及び収益によって生じた損耗は含まれない。
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解説
正解は「賃借人の原状回復義務には、通常の使用及び収益によって生じた損耗は含まれない」という記述です。 【結論と趣旨】賃貸借が終了すると賃借人は目的物を原状に復して返還しますが、通常の使用で当然に生じる損耗(通常損耗)や経年変化まで借主負担とするのは酷です。これらの分は賃料に含めて回収されていると考えられるためです。民法621条は、賃借人は通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに経年変化を除き、原状回復義務を負うと明文化しました(最判平17.12.16の趣旨を立法化)。 【具体例】賃借人Bが居住していたアパートで、日照による畳の自然な色あせや家具設置によるへこみ(通常損耗)は、退去時にBが補修費を負担する必要はありません。これに対し、Bの不注意で付けた壁の落書きやタバコのヤニ汚れは通常損耗を超えるため、Bが原状回復義務を負います。 【誤っている記述】 ・「賃借人は、賃貸人の承諾を得なくても自由に賃借権を譲渡できる」… 誤り。賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要で、無断でこれをし第三者に使用収益させると賃貸人は契約を解除できます(民法612条)。 ・「無断で第三者に使用収益させた場合、賃貸人は常に契約を解除できる」… 誤り。無断転貸等でも、賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できません(最判昭28.9.25・信頼関係破壊の法理)。「常に」ではありません。 ・「修繕義務を一切負わない旨の特約は常に有効である」… 誤り。賃貸人は使用収益に必要な修繕義務を負うのが原則で(民法606条1項)、一切免除する特約は事案により消費者契約法10条等で無効となり得ます。「常に有効」とは言えません。
一問一答
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