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資格データ2026年6月14日9

なぜ資格を取るのか——統計データと制度で見る「取得のメリット」

資格は「なんとなく」で選ぶと後悔しがち。人手不足の予測、独占業務・必置資格という制度、収入データなど、客観的な根拠から資格取得のメリットを読み解きます。

「資格を取っても、結局あまり役に立たないのでは」——勉強を始める前に、一度はこう考えてしまうものです。資格の取得には、時間もお金もかかります。せっかく頑張るなら、その努力がちゃんと報われる資格を選びたい。だからこそ、「なんとなく人気だから」「周りが持っているから」という感覚ではなく、できるだけ客観的なデータで判断したいところです。

じつは、資格のメリットは気合いや印象の話だけではありません。「この分野は人手が足りない」という需要の予測、「この資格がないとできない仕事がある」という法律上の制度、そして「資格保有者の賃金」といった統計——こうした客観的な事実が、資格の価値を裏づけています。感覚で語られがちな「資格のメリット」を、データと制度の側から見直してみましょう。

この記事では、需要(人手不足の予測)、独占業務、必置資格、収入・キャリアという4つの観点から、資格取得のメリットを公的なデータ・制度をもとに整理します。あわせて、統計データを読むときの注意点と、自分に合う資格の選び方までを解説します。数値はすべて出典を明記し、変動するものはその旨を添えています。

需要:人手不足の分野では、資格が強い武器になる

まず押さえたいのが「需要」です。働き手が足りていない分野では、その分野のスキルを証明できる資格が、就職・転職で大きな武器になります。代表例がIT分野です。経済産業省が委託した「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)では、IT人材の不足が将来さらに広がり、2030年には最大で約79万人が不足すると試算されています(高位シナリオの場合)。これだけの規模で人手が足りないと見込まれている分野では、基礎を身につけた人材へのニーズは高いと考えられます。

IT分野は、未経験から学び始める人にとって入口がはっきりしているのも特徴です。ITパスポートでITの基礎用語と全体像をつかみ、基本情報技術者、応用情報技術者へとステップアップしていく道筋が用意されています。人手不足の分野で「学ぶ意欲と基礎がある」ことを示せるのは、それ自体が強みになります。

もうひとつ需要が安定しやすいのが、医療・介護・福祉の分野です。日本は高齢化が進み、これらの分野の担い手は継続的に求められています。介護福祉士や登録販売者のように、現場で評価される資格は、景気の波に比較的左右されにくい需要を持っています。「人手が足りない分野で、できることを証明する」——これが、資格を需要の面から活かす基本の考え方です。

独占業務:その資格がないと、できない仕事がある

資格のメリットを語るうえで欠かせないのが「業務独占資格」という考え方です。業務独占資格とは、その資格を持つ人だけが、法律上その業務を行える資格のこと。資格がない人が同じ業務を行うことは、法律で禁じられています。つまり、資格そのものが「この仕事をしてよい」という許可証になっているのです。

代表例は、宅地建物取引士、社会保険労務士、行政書士といった「士業」です。たとえば不動産取引における重要事項の説明は宅建士でなければ行えませんし、社労士や行政書士にもそれぞれ独占的に扱える書類・手続きがあります。第二種電気工事士(一定の電気工事に従事できる)や、危険物取扱者乙種第4類(ガソリンなど危険物の取り扱い・立会いに必要)のように、現場の安全に直結する業務独占資格もあります。

似た言葉に「名称独占資格」があります。これは、資格を持つ人だけがその名称を名乗れる資格で、業務そのものは資格がなくても行える場合があります。業務独占資格は名称独占も兼ねるのが一般的です。両者の違いを知っておくと、「その資格があると何ができるようになるのか」を正確に見極められます。資格がないとできない仕事があるということは、それだけ資格保有者の存在に希少性と安定があるということでもあります。

必置資格:法律が「置くこと」を義務づける

需要・独占業務に続く3つ目の観点が「必置資格(設置義務のある資格)」です。これは、事業者が法律によって、一定数の有資格者を配置することを義務づけられている資格を指します。会社側が「置かなければならない」資格なので、構造的に求人が生まれ続けるのが特徴です。

分かりやすい例が宅地建物取引士です。宅地建物取引業法(第15条)では、宅建業の事務所などに、業務に従事する人の5人に1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置くことが義務づけられています。つまり、不動産会社は事業を続ける限り、一定数の宅建士を確保し続けなければなりません。これは資格保有者にとって、安定した需要の土台になります。

もうひとつの例が第一種衛生管理者です。労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者がいる事業場に、衛生管理者を選任することが義務づけられています。業種を問わず多くの企業に関わるため、企業内でのニーズが途切れにくい資格です。「法律が配置を義務づけている」という事実は、景気や流行に左右されにくい需要を生みます。必置資格は、安定を重視する人にとって心強い選択肢になります。

収入・キャリア:資格がひらく選択肢

気になる収入面はどうでしょうか。まず正直にお伝えすると、「この資格を取れば年収がいくら上がる」と一律に言えるデータはありません。賃金は、業種・地域・経験年数・勤務先の規模など、さまざまな要素で変わるからです。職種ごとの賃金水準は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などで公表されており、気になる分野の相場を自分で確認することができます。

そのうえで、資格が収入やキャリアに効く道筋はいくつもあります。企業によっては、特定の資格に対して資格手当を支給したり、昇進・評価の条件にしたりしています。転職市場では、資格が「基礎知識とやる気の証明」として書類選考を通りやすくする効果も期待できます。そして士業のように、独立・開業という道がひらける資格もあります。

直接お金に結びつきにくく見える知識系の資格にも、確かな価値があります。日商簿記はお金の流れを読む力を、FP(ファイナンシャル・プランニング技能士)は税金・保険・年金といった暮らしのお金の知識を養います。これらは仕事だけでなく、自分の家計や資産形成にも一生使える知識です。中小企業診断士のように、経営全般の視点を体系的に学べる資格は、社内での企画・管理職や、コンサルティングへのキャリアにつながります。資格は「収入アップの保証」ではなく、「選べる道を増やす投資」だと捉えると、価値が見えやすくなります。

統計データの「正しい見方」——数字にだまされないために

資格をデータで選ぶうえで、数字の読み方にも注意が必要です。やみくもに数字を信じると、かえって判断を誤ります。いくつかのポイントを押さえておきましょう。

  • 「平均」は分布を隠す。平均年収が高くても、それは一部の高収入者に引き上げられた数字かもしれません。中央値や分布も合わせて見るのが安全です。
  • 合格率は年度・回ごとに変動する。難易度の目安にはなりますが、固定の数字ではありません。必ず試験実施団体の最新の公表値を確認してください。
  • データの「いつ・誰が」を確認する。古い調査や出所のはっきりしない数字は鵜呑みにせず、公的機関や試験実施団体の一次情報にあたるのが基本です。
  • 需要予測はあくまで予測。「2030年に約79万人不足」のような数字も、前提(シナリオ)によって幅があります。傾向として受け止めるのが適切です。

そして何より大切なのは、「資格を取れば必ず報われる」わけではない、という冷静な視点です。資格は、需要のある分野で、できることを証明し、選べる道を増やすための手段です。最後に活きるかどうかは、その資格をどう使うか次第。だからこそ、データで「追い風が吹いている分野」を見極めたうえで、自分の興味や目的と重ねて選ぶことが大切になります。

自分に合う資格を、どう選ぶか

ここまでの観点をふまえて、資格選びの軸を整理してみましょう。次の問いに答えていくと、自分に合う資格が見えてきます。

  1. 1目的は何か。就職・転職を有利にしたいのか、独立を目指すのか、収入アップか、生活に役立つ知識か。
  2. 2どの分野に追い風があるか。人手不足の分野(IT・医療福祉など)や、独占業務・必置資格は、需要の面で堅い。
  3. 3難易度と使える時間は釣り合うか。難関資格ほど見返りも大きい傾向はありますが、まずは続けられることが大前提です。
  4. 4興味を持てるか。最後は、学んでいて苦にならないテーマかどうかが、合格までの分かれ道になります。

迷ったときは、いきなり難関を狙うより、合格しやすい入門的な資格から始めて「学習を続ける習慣」をつくるのがおすすめです。一度合格を経験すると、勉強の進め方の感覚がつかめ、次の資格へのハードルが下がります。小さな成功体験を積み重ねていくことが、結果的に大きなキャリアにつながります。

スキマ資格で、まず一歩を踏み出す

データや制度の話は、頭で理解するだけでは前に進みません。気になる資格があれば、まずは実際の問題に触れてみるのがいちばんの近道です。スキマ資格なら、ここで紹介した分野の資格を、登録なしでも1問から無料で試せます。

IT分野ならITパスポートや基本情報技術者、独占業務なら宅建士・行政書士・社会保険労務士、安定した必置需要なら第一種衛生管理者、暮らしのお金なら日商簿記やFP——気になる資格のページを開けば、どんな内容を学ぶのかがすぐに分かります。「どれが自分に向いているか分からない」という場合は、資格診断から始めてみるのもよいでしょう。

資格選びは、情報を集めるほど迷いがちです。でも、最後に決め手になるのは「実際にやってみて、続けられそうか」という手応えです。データで追い風の分野を押さえたら、あとは1問解いてみるだけ。まずは気になる資格から、気軽に始めてみてください。すべて無料です。

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よくある質問

Q.資格を取れば年収は上がりますか?

A.必ず上がるとは限りません。賃金は業種・地域・経験年数などで変わるためです。ただし、人手不足の分野や、独占業務・必置資格は需要が堅く、収入やキャリアの選択肢を増やしやすい傾向があります。資格は「収入アップの保証」ではなく「選べる道を増やす投資」と捉えるのがおすすめです。

Q.業務独占資格と名称独占資格は何が違いますか?

A.業務独占資格は、その資格を持つ人だけが法律上その業務を行える資格です(例:宅建士・社労士・行政書士・電気工事士)。名称独占資格は、その名称を名乗れる資格で、業務自体は資格がなくても行える場合があります。業務独占資格は名称独占も兼ねるのが一般的です。

Q.未経験でも資格で就職・転職できますか?

A.人手不足の分野では、資格が「基礎知識と学ぶ意欲の証明」になり、書類選考などで有利に働きやすいです。ただし資格だけで決まるわけではなく、実務経験や人柄と組み合わせて評価されます。まず追い風のある分野の入門資格から始めるのが現実的です。

Q.どの資格から始めればいいですか?

A.目的(就職・独立・収入・生活の知識)と、難易度・使える時間のバランスで選びます。迷うなら、合格しやすい入門的な資格から始めて学習習慣をつくるのがおすすめです。小さな合格体験が、次の資格への自信につながります。

参考文献

  • 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年、みずほ情報総研株式会社委託)— 2030年にIT人材が最大約79万人不足するとの試算。
  • 宅地建物取引業法 第15条(成年者である専任の宅地建物取引士の設置義務。事務所等で業務に従事する者5人に1人以上)。
  • 労働安全衛生法 第12条ほか(常時50人以上の労働者がいる事業場における衛生管理者の選任義務)。
  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(職種別・学歴別などの賃金水準を確認できる公的統計)。

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